2019/08/06

本土制空基地隊員の日記

書名は『日本大空襲』。著者は原田良次(中公新書全二巻、ちくま学芸文庫)。

1944年11月1日、B29が本土に初めて飛来した日から敗戦に至る日まで、戦場体験を文庫本の余白にメモした内容に、注記を加えたものである。写真を見ると、文庫は岩波文庫の国木田独歩の「運命論者」ほか二編を含むもの。今は出ていない。

以下は抜粋の抜粋である。読むのがつらい箇所ばかり。

11月1日 「B29だ!」「きれいだ!」飛行場のすべての兵隊の目が、脅威と感嘆をこめて、その一点を追い続ける。

11月6日 敵機の高性能に、ただ唖然。
※敵機とはB29をさす。それを日本軍はレーダーで捕捉できない。しかもB29の空域である1万メートルまで上昇するのに日本機は数十分もかかる。勝てるわけがない。

11月8日 朝まだき。「一機、至急整備たのむ」「特攻機だ!」「征く者の気持ちを察して起きてくれ」とやつぎ早である。
 私は、いま個人の意志ではどうにもならない、軍隊のもっとも悪い面を見せつけられて、暗然とした。
※特攻機の準備がついに始まった。

フルネームで呼んでくれてありがとう

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