「トム」が縮めた距離:ワシントン
(白石 亘)
ある日本の経営者が米国で「マイク」という愛称で仕事をしていたと話していたのを思い出し、自分も何かニックネームをつけようと考えた。なかなかいい愛称が思いつかなかったが、ふと頭に浮かんだのが子どもの頃見ていた人気アニメ「トムとジェリー」だった。
そこで店員に名前を聞かれ「トム」と答えると、一発でスムーズにいった。その後もコーヒーショップでトムを名乗っているが、店員とも「今日は寒いね」「うん凍えるよね」などと立ち話をする機会が増えた。相手との距離が縮まったように感じるのは愛称のおかげだろうか。
だがそれも新型コロナウイルス以前の話。今ではワシントンでもなじみの店は全て閉まっている。普通にコーヒーが飲める日常が懐かしい。
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名前は呼ばれてこそ。WATARUで通しても、関係は生まれない。第一、ふりがな風のスペルを伝えても日本人が読むように読まれる保証はない。愛称についてふれると、台湾では英語の授業で生徒は愛称を用いる。つまり、ワタルではなくトム。そのほうが授業の雰囲気が高まるのだという。本人がつけたり、周りの人が付けたり。それが高じて、名刺に愛称を掲げる人もよく見かける。