2020/08/31

女の子みたい?

 東京新聞「私の東京物語」で、アナウンサー吉田照美さんの連載が始まった。2回目の今日は「女の子みたい?」。名前にまつわる内容だ。

(略)小学校二年の夏休み前だった。

父親が一生懸命働いて、会社の社宅に別れを告げ、母親も、僕も、新しい生活に胸を膨らませ、一戸建てのわが家は、夢の世界だった。

でも、僕は、大きく出はなをくじかれた。葛飾小学校から、上小岩小学校に転校した初めての日。担任の先生から、クラスのみんなの前に立ち、紹介された。「今日から、このクラスに転校して来た吉田照美くんです!」。僕の名前を先生が告げた瞬間、クラスのみんなが大笑いしたのだ。つまり、照美という名前が、女の子みたいだということなのだ。そんな時代だった。

今でこそ、郷ひろみさん、川崎麻世さん、小日向文世さんなどという有名人がいるので、女性の名前にもなるような名前に慣れている世の中とは、物差しがまるで違っていた。

とにかく、みんなに笑われる名前は、完全に僕のコンプレックスになった。そもそも、葛飾小学校の入学式の日も、父親、母親と一緒に、各クラスの名簿が張り出されているのだが、何回見ても、どのクラスにも、僕の名前は無い。諦め気味に、くまなく名簿を見てみると、僕の名前は、男子のところには無く、女子の中に入っていた。

一番酷かったのは、高校時代、小岩駅で定期を買った時、駅員さんが、僕を目の前にして、僕の名前を記入の後、僕の名前の下に赤エンピツでアンダーラインを引いた!それは、女の子の印だぜ!



 最後の一文、「僕」が3回も出てくる。よほどショックだったのだろう。これまで行ってきた名前インタビューでは、名前のせいで性を間違えられた人には出会えていない。吉田さんの経験はボクにとって貴重なエピソードだ。

 吉田さんは1951年1月生まれ。だから、この話は1960年ごろ。郷ひろみ(1955年生まれ)のひろみは本名で、表記は裕美。デビューは1971年。川崎麻世は1963年生まれ、1977年デビュー。小日向文世は1954年生まれ(誕生日が吉田照美と同じ1月23日)、1977年デビュー。