卒論に限った話ではない。形容詞は表記や位置によって、かかる先があいまいになる。
たとえば、明るい日本の将来といったとき、明るいは日本にかかるのか、将来にかかるのか。前後関係で明確になる場合もあるし、読み手の知識で明確になる場合もあるが、その箇所だけで明確になるのがベストだ。
この例であれば、日本の明るい将来、「明るい日本」の将来とすれば、はっきりする。修飾語と修飾対象を近づける。
AとBの長さを比較する。
→どちらも長さを比較するのであれば、Aの長さとBの長さを比較する
→Aはそのままであれば、AとBの長さとを比較する、あるいはBの長さとAを比較する
形容詞で多いのがなんとか的。これは、「的な」を「的」にする、「的」をトルだけで明確になる。
そもそも、「な」には「的」というニュアンスがあり、逆もしかり。
「意図的な行為の説明」という表現で考えてみよう。これでは意図的は行為にも説明にもかかりうる。「意図的行為の説明」と、前半を一語にすることであいまいさは避けられる。的をとっても不自然でなければ、トルことですっきりする。「非言語的コミュニケーション」でもいいが、「非言語コミュニケーション」のほうが、一語が長いだけに、「的」をトル効果は大きい。
「的な」は「的」にできないか、さらには「的」をとったほうがすっきりしないか、そういう視点で文章を見直そう。
以前も書いた内容だった。ガクッ
■参考に>木下是雄『理科系の作文技術』中公新書